「絆」-small table- vol.1

  • 2012.12.25

2011年は日本にとって本当に大きな年だったと思います。
 
たくさんの悲しい事や嫌な事を経験し、たくさんの素敵な事や嬉しくなる様な事がありました。
 
それは今でもまだ続いていて、忘れてはいけない事として日本人の心に刻まれたのではと思います。
 
私個人も大切な友人とその家族とを失いました。何もかもが一瞬で、だけど目の当たりにした現実は言葉にできる様なものではなくて。
 
ひどく落ち込んでいた時にたくさんの人が立上がりました。たくさんの人が助け合おうと手を出し合って、その繋がりはどんどん大きくなって今は本当に大きな絆になって日本を支えている。私の手からこぼれ落ちたものはもう戻らないと気づいたからこそ、今手の中にあるものはしっかり握っていきたい。そうして誰かの手からこぼれ落ちそうなものを一緒に支えていけるようにありたいと思いました。
 
絆というものを改めて考える1年でした。
 
普段は筆記具に触れている私ですが、色々な人が筆記具を持って店に訪れます。インクの出ない万年筆の修理やペンのノックがおかしいボールペン、海外で買った製品のリフィルを探していたりと様々ですが、みんなその筆記具を大切にしているのがわかります。キャップに名前が彫ってあったり、10年以上前のモデルだったり、中にはそのエピソードを話してくれる方もいます。
 
この前舶来品のボールペンを持ってきた方は、インクが手に入りにくくても、もう古い型であっても、子供たちが贈ってくれたものだから使い続けたいのだと笑って話してくれました。ある時親子連れで万年筆の修理に来られた方は、ペン先と内部の機構を点検する私の前で、物はこうして修理して使うんだよと子供に話し聞かせていました。
 

そんな人と人の繋がりをむすぶ事が出来て、喜んでもらえる。絆を繋ぐ仕事に感謝出来たのも昨年ゆえにだと思います。
 

pour annickに「small table」(スモールテーブル)というソファがあります。
 
ちいさなテーブルのついたおおきなソファは、デザイナーとスタッフとプレスとフォトグラファー、色々な方の思いによって2年がかりで生まれた家具です。
 

どこから見ても美しいソファであるように、使う木材にこだわり、張り地や中のコイル、脚の丸みやテーブルの厚みに至るまで丹念に作られています。
 
このソファが多くの人の絆で生まれたように、「small table」は人の絆を結んでいけるようになるのではないかなと思います。
 
小さなテーブルに飲み物を置いて、ホームシアターを楽しむにもいいでしょう。電話を置いて尽きる事の無いおしゃべりをしてもいい。親子で絵本を読んだりするのも素敵。
 
座ることだけを求めているなら、数えきれないほどのソファがありますが、ほんとうに欲しいものは「座る」ということでしょうか。本当に欲しいものは、なにか。求める物が「座る」とは違うかなと思ったら、このちょっと大きな「small table」を見にきて下さい。
 
あなたがほしいのは何かを確かめるために。なぜこのソファが絆を繋ぐのか、きっとわかってもらえると思うから。
 

次回はこの特別な家具について、もう少しお伝えしようと思います。
 
 
文:花宮 久絵
 
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