お家でお花見
だんだんと日の傾く時間が緩やかになっていくのを感じ始める季節、梅が見頃を迎えて、それを追うように桜が花を咲かせる。
春と言えばお花見。四季を楽しむ日本ならではの風習ですが、今回はちょっと違うお花見の話です。
人ごみはどうも苦手、静かに楽しみたい、そんな人にもお勧めなのが「花茶」。
方法はとてもかんたん。
好きなお茶に桜の塩漬けを浮かべるだけ。
桜の塩漬けはこの時期になるとスーパーなどで手に入ります。
今回は紅茶でやってみます。
使うのはダージリンとアッサムの二つの茶葉。もともとダージリンはストレートで飲むのがおすすめの大人向け紅茶、アッサムはミルクティーによく合う味の強い種類です。どちらか一つだけは苦手でも、案外混ぜると大丈夫なんてこともあるので、ブレンドも楽しいですよ。
これをカップ1杯に対してティースプーンで1杯ずつ。
ゴールデンルールで煎れます。
汲みたての水を沸かして、温めておいたポットとカップにお茶を注ぐのですが、ここでは私がやってる手順でご紹介。
まずやかんに水をいれます。ペットボトルとかじゃなく、水道水を高い位置から水面に泡がでるように注ぎます。空気がたくさん入った方が美味しいのです。
そしてやかんを火にかけて、そのあいだにポットとカップに水を入れて電子レンジにいれておきます。
お湯が沸騰するちょっと前、ふたをとって見ると水面に小さな泡が浮かび始めて、湯気が上がってきているくらいでレンジを1分セットしてスイッチオン。
だいたいお湯にぼこぼこと大きな泡が出始めたくらい、ぐつぐついいだすその直前で火を止めるのとレンジが音を立てるのは同じ位になるはず。
ポットのお湯を捨てて、そこに紅茶葉を入れてすぐにやかんのお湯を注ぎます。これも空気がたっぷり入るように少し高い位置から勢い良く。
そうしたらあとは3分ほどじっと待ちます。
今回は花茶なので、桜の塩漬けを二つ、三つさっと水で塩を流します。カップのお湯は捨ててそこに洗った桜をいれる。
あんまり洗うと香りもなくなってしまうので、さーっと軽くです。
そうしたらあとは茶こしを使って紅茶をカップに注ぐだけ。
お茶を注ぐとふわりとただよう桜の香りはなんとも心温まります。
晴れた日、何でもない時にお気に入りのカップを出して、ていねいにお茶を煎れてみる。
やさしい香りが漂い始めると、じぶんの気持ちがゆっくり空気みたいになっていく。
今の自分を取り囲む空気、あたたかい日差しときれいな桜の花、静かでとても穏やかな空気になっていく。
こういう時間は意外につくらなければなかったりしませんか?
だからこそ
こういう季節を楽しむお茶は、最近忙しい自分へのご褒美にいかがでしょう。
文:花宮久絵