天気の良い秋晴れの日が続き、過ごしやすい季節となってきました。
これからさらに気温が下がり、暖房器具を使うようになると、お部屋の中が乾燥しやすくなります。
加湿器などを使用し、適度な湿度に保っていただくと、木製家具や革製品を安心してご愛用いただけます。
また、私たちの肌も乾燥するこの季節に、家具のお手入れをおすすめいたします。
1年に2~3回、特に今頃から春先の季節にメンテナンスをおススメしています。
木製家具や革製品において、乾燥は、ひび割れなどの原因となります。
専用のワックス(オイル)を使ってお手入れしていただくことで、乾燥を防ぎ、より長くご愛用いただけます。
メンテナンスキットはこちら
2015/10/30 |
カテゴリー: COLUMN,
REPORT |
タグ: メンテナンス,
ワックス
夏も終わり、少しずつ秋らしい陽気になってきましたね。
また今年も乾燥の季節が近づいてきています。
そこで以前にも投稿いたしました、湿度の話をもう一度。
見上げるとどこかくすんだ空の色、どこか空気さえ重い様な気がする季節。
ああもう梅雨なんだなと知るのは案外、天気予報を「見る」事より雲の多さや、
突然の雨とか、髪型がうまくまとまらなかったりとか「感じる」事の方が早かったりします。
湿度は空気中に含まれている水分の割合で、これが高すぎるとものがカビやすくなったり、
なかなか寝付けなかったりして、逆に低すぎれば肌の乾燥が気になったり風邪をひきやすく
なったりしますよね。
目には見えないけれど、たしかに私たちを包んでいるこの水分は思っている以上に
日々影響を与えてきています。
そして四季のある日本で、それを強く感じられるのが梅雨というわけです。
一般的に快適と言われる湿度は、40〜60%の間。
同じ湿度でも環境で感じ方も変わってきます。
冬場なら湿度が高めのほうが温かく感じられたり、夏場なら低めの方が涼しくて
心地よかったりするんです。
これからならエアコンの効きが良くないと感じたら除湿器などで湿度を下げてみて下さい。
目には見えないけれど、確実に私たちをとりまいているこの湿気。
今でこそ技術が発達して除湿も加湿もできますが、それまではどうしていたんだろうかとふと考える。
なんとなくそんな話を母にしてみました。
昔はね、女の子が生まれると桐の木を植えたのよ。
一体何の事かと思っていれば、私が子供の頃からある古びたタンスの話を持ち出してきた。
ほら、あれ。あのタンスは私が結婚した時に作ったものなの。
桐は湿気に強いし、カビにも強いからタンスにはすごくいいのよ。
桐は15年もすればタンスが作れるくらいの大きさになるから、婚礼家具にもよくつかわれたの。
今はどうか知らないけどね。
だからあのタンスもあんたのお母さんみたいなものよ、大事になさい。
なんてよくわからないまとめ方をして、母は懐かしそうに笑っていましたが。
昔は今のように湿度を数値で見たり、コントロールする方法がなかったけれど、そのかわりに
感じ取ることが強かったのかもしれません。
一つの家具を作るにも、他の木より桐は中のものがカビないとか、虫がつきにくいとか、
多くの人たちの経験や感じ方がまとまって主流となっていたのでしょう。
湿度や気温は今では数値としてすぐにわかるけれど、もう少し感じてみても良いのかもしれません。
暑くて肌がべたついたりするこの季節は、ある意味では感覚をつかういい機会なのでしょう。
目には見えないけれど、確かにあるもの。
見る事に慣れて、感じる事を忘れていませんか。
毎年やってくるじめじめした季節、心地よく過ごす方向を探り当てていくというのも憂鬱に
なりがちな季節を楽しくする一つの方法かもしれませんね。
文:花宮久絵
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DUO(デュオ) 温湿度計
本日は、pour annickのオリジナルソファ「small table」のデザイナー
熊野 亘さんが参加するトークイベントのご紹介。
Talk Café 2012(トーク カフェ 2012)
トークセッションのお相手は、レディーガガさんの靴デザイナーとして有名な
舘鼻 則孝さん。日本を代表する若手クリエイターの2人の対談ということで
要注目のイベントです。
この対談中、お二人が座るソファーはpour annick の「small table」。
熊野さんのご希望もあって実現しました。
SmallTableのデザイナーとして、お世話になっている熊野 亘さんは、
プロダクトデザイナーJasper Morrison氏のアシスタントとして東京で働く傍ら、
2009年にデザインスタジオKUMAを設立し、フリーランスデザイナーとして
活動中です。
会場は、末広町の3331 Arts Chiyoda。
さまざまなジャンルの第一線で活躍するアーティストやクリエーターたちが
それぞれの表現を自由に発信する場所です。
ちなみに、3331の由来は、江戸三本締めのリズムを数字で表したものだそうです。
無料で楽しめるアートスペースも備えていて、東京の新しいデザインスポットとして
楽しめます。
Talk Café 2012(トーク カフェ 2012) -世界をこじあけろ!-
日時:2012/7/25(水) 18:30〜20:30
会場:3331 Arts Chiyoda(東京メトロ銀座線・末広町駅)
※トークイベントは申込制となっておりますので、お早めに確認ください。
イベントHP
http://www.jpda.or.jp/activities/higashi/2012002/2012002_01.html
(社団法人日本パッケージデザイン協会東日本委員会主催)
small table special site
http://www.pourannick.com/smalltable/index.html
見上げるとどこかくすんだ空の色、どこか空気さえ重い様な気がする季節。
ああもう梅雨なんだなと知るのは案外、天気予報を「見る」事より雲の多さや、
突然の雨とか、髪型がうまくまとまらなかったりとか「感じる」事の方が早かったりします。
湿度は空気中に含まれている水分の割合で、これが高すぎるとものがカビやすくなったり、
なかなか寝付けなかったりして、逆に低すぎれば肌の乾燥が気になったり風邪をひきやすく
なったりしますよね。
目には見えないけれど、たしかに私たちを包んでいるこの水分は思っている以上に
日々影響を与えてきています。
そして四季のある日本で、それを強く感じられるのが梅雨というわけです。
一般的に快適と言われる湿度は、40〜60%の間。
同じ湿度でも環境で感じ方も変わってきます。
冬場なら湿度が高めのほうが温かく感じられたり、夏場なら低めの方が涼しくて
心地よかったりするんです。
これからならエアコンの効きが良くないと感じたら除湿器などで湿度を下げてみて下さい。
目には見えないけれど、確実に私たちをとりまいているこの湿気。
今でこそ技術が発達して除湿も加湿もできますが、それまではどうしていたんだろうかとふと考える。
なんとなくそんな話を母にしてみました。
昔はね、女の子が生まれると桐の木を植えたのよ。
一体何の事かと思っていれば、私が子供の頃からある古びたタンスの話を持ち出してきた。
ほら、あれ。あのタンスは私が結婚した時に作ったものなの。
桐は湿気に強いし、カビにも強いからタンスにはすごくいいのよ。
桐は15年もすればタンスが作れるくらいの大きさになるから、婚礼家具にもよくつかわれたの。
今はどうか知らないけどね。
だからあのタンスもあんたのお母さんみたいなものよ、大事になさい。
なんてよくわからないまとめ方をして、母は懐かしそうに笑っていましたが。
昔は今のように湿度を数値で見たり、コントロールする方法がなかったけれど、そのかわりに
感じ取ることが強かったのかもしれません。
一つの家具を作るにも、他の木より桐は中のものがカビないとか、虫がつきにくいとか、
多くの人たちの経験や感じ方がまとまって主流となっていたのでしょう。
湿度や気温は今では数値としてすぐにわかるけれど、もう少し感じてみても良いのかもしれません。
暑くて肌がべたついたりするこの季節は、ある意味では感覚をつかういい機会なのでしょう。
目には見えないけれど、確かにあるもの。
見る事に慣れて、感じる事を忘れていませんか。
毎年やってくるじめじめした季節、心地よく過ごす方向を探り当てていくというのも憂鬱に
なりがちな季節を楽しくする一つの方法かもしれませんね。
DUO 温湿時計
文:花宮久絵
2012/07/01 |
カテゴリー: COLUMN,
NEWS / TOPICS,
未分類
small tableを作ったきっかけのこと。
どういう家具を目指したのか。こだわった色々なこと。
1点ずつ大切に作る家具に願うこと。
ものが溢れ、どこにいても欲しいものが手に入る時代。
それは本当に私たちが求めたものなのか。
デザイナーが思う、理想の家具のお話。
「2008年に僕が青山で展示していたダイニングセットをpourannickの田中さんが気になると言ってくれて、
連絡を頂いたんですよ。そこからですね。オリジナルの家具を作ろうって話を頂いたんです」
熊野さんがフィンランドから帰ってきたばかりの年に、pourannickで家具を作ったきっかけを話してくれた。
novelaxという若手デザイナーチームに所属しているデザイナー熊野亘がPINSというダイニングセットを
青山で展示した時に作ったDM、
これが家具店のオーナーとデザイナーの理想を目指す行程の始まりだったと言う。
novelax\preview2008
「まずどういう家具を作ろうかって話になった時に、
田中さん(プールアニック代表)が好きな北欧の名作ソファがあって、それのスタディから始めたんです。
まずはアンティークのそのソファを買ってきて、みんなで座ってみてあーでもないこーでもないって話しながら
スケール[寸法]をとったりして。
アンティークだから座面がもうつぶれてたんですけど、
でもその座り心地に近いものにしようってなったんです」
ものを長く使おうという時代にきて、熊野さんが考えるのは座り心地の良いイスであるという。
80年代などに多く出回った、家にある事でステータスとなる様な変わったイスではなく、
長い時間をかけて家に馴染んでいく、毎日新鮮な目で見れる座り心地の良いイスだ。
「クッションの素材が背もたれと座面で違うんですよ。
背もたれはウレタンで、座面にはコイル[バネのようなもの]を使ってるんです。
コイルはベッドなんかに使われるもので、かなり贅沢な作りになっています。
コイルもいろいろ試して座った時にぐっと体が入っちゃうんじゃなくて、
表面を感じて、そこから沈むみたいな、そういった座り心地にしました」
自分たちの目標となる座り心地を決めて、それを目標にリサーチとスタディを続けてきた。
何度も図面を書いてプレゼンテーションをしながら試作にたどり着いたのが半年後。
写真を撮ったりムービーを作ったり、みんなのこだわりをこめてラウンチ[売り出し]したのが2年後だった。
smalltableに使われた木材はヨーロッパ・ビーチという柔らかな白が特徴のブナ材。
この木材を選んだのにも訳があった。
「最近明るい雰囲気の家って多くなってきてて。
白い壁で、自然光が入ってきて、そこにナチュラルな素材をアンティークなものと一緒に置いたりとか。
そこに馴染むようにしたくて。
一番最初に東北にある家具を作る工場に行った時に、
うちにいますごくいいブナがあるんですっていう話になって、それであの木を選んだんです。
まぁ僕が白木を好きだっていうのもありますけど(笑)」
ここ数年、安価でデザインがそこそこいい家具が出回っている。
それに対して1点1点しっかりと作られた家具はどうしても高価で、手が出しにくい現状がある。
こういった時代の流れにデザイナーとしてどう思うのか。
「今ものを長く使おうって時代だから、そう言う家具が売れだして5〜6年たったのかな、
大量生産で出回ったものが壊れ始める頃だと思うんですよ。
そこでみんな、こういう家具ってどうなんだろうって思い始めるんじゃないかと。
一つのものを長く使おうってなったらsmalltableの大量生産にはない良さっていうのに
気づいてもらえるんじゃないかなと思うんです。」
ちょっと捻くれた意見を言えば、安いものにそれでも手が伸びてしまう現実は中々変えがたい。
世の中の不況を思えばなおさら。
「大量生産家具が飛ぶように売れたことのひとつに、露出が多かった事もあるんですよ。
多く目に入ってくるから手を出しやすい。これからsmalltableもいろいろ打出していこうって企画もあるんです。
どんなものでも、まず見てもらわなければ始まらない。」
TVのCMや雑誌で値段と家具が大きく宣伝される大量生産家具、そのコンセプトもわかりやすいものが多い。
見てもらうだけで始まるものなのか。
「知っているのと知らないのでは全然ちがいますから。
それに1点ずつ作られた家具っていうのは長持ちするってだけじゃなくて、ちゃんと考えられててお金もかけられて作ってますよね。」
そこを知らない人がとても多いことを踏まえながら、熊野さんはこう締めくくった。
「理想は、使って頂いて、それを徐々に感じていってもらえればと。
僕は、そういった説明無しに良いって思ってもらえる家具を作っていきたいって思うんです。
この商品を見て、一度座ってみて「あ、いいな」って思ってもらえる様なイスとかソファを作っていきたいなと。
それで座ってみて、座り心地良くて、長く使えるんならサイコーじゃないですか」
デザイナーとスタッフと工場の方とみんなのこだわりが込められた家具。
smalltableは60年以上前の名作から生まれかわったという、そんなお話。
small table hp:
http://www.pourannick.com/smalltable/
文:花宮久絵
-2012/02/05投稿分‐
絆というものを改めて考える1年でした。
普段は筆記具に触れている私ですが、色々な人が筆記具を持って店に訪れます。
インクの出ない万年筆の修理やペンのノックがおかしいボールペン、海外で買った製品のリフィルを探していたりと様々ですが、
みんなその筆記具を大切にしているのがわかります。
キャップに名前が彫ってあったり、10年以上前のモデルだったり、中にはそのエピソードを話してくれる方もいます。
この前舶来品のボールペンを持ってきた方は、インクが手に入りにくくても、もう古い型であっても、子供たちが贈ってくれたものだから使い続けたいのだと笑って話してくれました。
ある時親子連れで万年筆の修理に来られた方は、ペン先と内部の機構を点検する私の前で、物はこうして修理して使うんだよと子供に話し聞かせていました。
そんな人と人の繋がりをむすぶ事が出来て、喜んでもらえる。
絆を繋ぐ仕事に感謝出来たのも昨年ゆえにだと思います。
pourannickに「SMALL TABLE」というソファがあります。
ちいさなテーブルのついたおおきなソファは、デザイナーとスタッフとプレスとフォトグラファー、色々な方の思いによって2年がかりで生まれた家具です。
どこから見ても美しいソファであるように、使う木材にこだわり、張り地や中のコイル、脚の丸みやテーブルの厚みに至るまで丹念に作られています。
このソファが多くの人の絆で生まれたように、SMALL TABLEは人の絆を結んでいけるようになるのではないかなと思います。
小さなテーブルに飲み物を置いて、ホームシアターを楽しむにもいいでしょう。
電話を置いて尽きる事の無いおしゃべりをしてもいい。
親子で絵本を読んだりするのも素敵。
座ることだけを求めているなら、数えきれないほどのソファがありますが、ほんとうに欲しいものは「座る」ということでしょうか。
本当に欲しいものは、なにか。
求める物が「座る」とは違うかなと思ったら、このちょっと大きなSMALL TABLEを見にきて下さい。
あなたがほしいのは何かを確かめるために。
なぜこのソファが絆を繋ぐのか、きっとわかってもらえると思うから。
次回はこの特別な家具について、もう少しお伝えしようと思います。
文:花宮 久絵
だんだんと日の傾く時間が緩やかになっていくのを感じ始める季節、梅が見頃を迎えて、それを追うように桜が花を咲かせる。
春と言えばお花見。四季を楽しむ日本ならではの風習ですが、今回はちょっと違うお花見の話です。
人ごみはどうも苦手、静かに楽しみたい、そんな人にもお勧めなのが「花茶」。
方法はとてもかんたん。
好きなお茶に桜の塩漬けを浮かべるだけ。
桜の塩漬けはこの時期になるとスーパーなどで手に入ります。
今回は紅茶でやってみます。
使うのはダージリンとアッサムの二つの茶葉。もともとダージリンはストレートで飲むのがおすすめの大人向け紅茶、アッサムはミルクティーによく合う味の強い種類です。どちらか一つだけは苦手でも、案外混ぜると大丈夫なんてこともあるので、ブレンドも楽しいですよ。
これをカップ1杯に対してティースプーンで1杯ずつ。
ゴールデンルールで煎れます。
汲みたての水を沸かして、温めておいたポットとカップにお茶を注ぐのですが、ここでは私がやってる手順でご紹介。
まずやかんに水をいれます。ペットボトルとかじゃなく、水道水を高い位置から水面に泡がでるように注ぎます。空気がたくさん入った方が美味しいのです。
そしてやかんを火にかけて、そのあいだにポットとカップに水を入れて電子レンジにいれておきます。
お湯が沸騰するちょっと前、ふたをとって見ると水面に小さな泡が浮かび始めて、湯気が上がってきているくらいでレンジを1分セットしてスイッチオン。
だいたいお湯にぼこぼこと大きな泡が出始めたくらい、ぐつぐついいだすその直前で火を止めるのとレンジが音を立てるのは同じ位になるはず。
ポットのお湯を捨てて、そこに紅茶葉を入れてすぐにやかんのお湯を注ぎます。これも空気がたっぷり入るように少し高い位置から勢い良く。
そうしたらあとは3分ほどじっと待ちます。
今回は花茶なので、桜の塩漬けを二つ、三つさっと水で塩を流します。カップのお湯は捨ててそこに洗った桜をいれる。
あんまり洗うと香りもなくなってしまうので、さーっと軽くです。
そうしたらあとは茶こしを使って紅茶をカップに注ぐだけ。
お茶を注ぐとふわりとただよう桜の香りはなんとも心温まります。
晴れた日、何でもない時にお気に入りのカップを出して、ていねいにお茶を煎れてみる。
やさしい香りが漂い始めると、じぶんの気持ちがゆっくり空気みたいになっていく。
今の自分を取り囲む空気、あたたかい日差しときれいな桜の花、静かでとても穏やかな空気になっていく。
こういう時間は意外につくらなければなかったりしませんか?
だからこそ
こういう季節を楽しむお茶は、最近忙しい自分へのご褒美にいかがでしょう。
文:花宮久絵
2012/03/31 |
カテゴリー: COLUMN,
FOOD
ⒸJean-Michel Othoniel/Adagp, Paris 2012
原美術館で行われているJEAN-MICHEL OTHONIELのMY WAY展を観に行ってきました。
最初の部屋に「わたしのベッド(Mon Lit)」があり、
ⒸJean-Michel Othoniel/Adagp, Paris 2012
それを見守るように壁際に添えられた「バナーNo,7」「バナーNo,9」
ⒸJean-Michel Othoniel/Adagp, Paris 2012
色鮮やかでどこか幻想的、不思議な親近感を抱く展示にどきどきしながら通路を歩いて行くと、
JEANがインスピレーションを受けた風景に出会える。
ⒸJean-Michel Othoniel/Adagp, Paris 2012
そしてポスターにも使われている作品「涙(Lagrimas)」
閉じられたガラスの中に入った水にさまざまなモビールがうかんでいる。
5mもあるテーブルに並ぶこの作品は、歩くとその奥にある作品が歪み、にじんで、別のにじんでいた作品が形を成して行く様子がとても美しい。
色とりどりのガラスに包まれる世界はとても女の子の好きそうなロマンチックな空間に思える。
でも
パンフレットを読み返すと
「生と死」「自由と苦悩」「美と官能」
の文字が目に入る。
ベッドは起きて眠る場所、生と死の暗喩でもある。
それを見下ろすガラス玉は、どろどろと溶けたものから生まれている。
悩み、傷つき、そのパターンが人によって様々であるように自由であり苦悩する素材としてみる事も出来る。
この「涙」も水の中にうかぶモビールはとても綺麗だが、ふと振り返ると、この部屋にはいくつも天井から吊り下げられたガラスの作品がある。
水の中に浮いているものは、何か。
後からそんな気にさせられる。
近年の作品「ラカンの大きな結び目」は鏡面ガラスと金属によるものです。
ⒸJean-Michel Othoniel/Adagp, Paris 2012
哲学者ラカンは鏡に映った自分を見て初めて自己を認識するという理論を提唱しています。
(わたしには難解過ぎてその程度にしかわかりませんが)
でもこの作品を見て、ラカンについて調べると、見方が変わってきました。
DNAの様な連鎖し絡まり合いながら規則的なガラスに、「自由と苦悩」を表現したものかと思っていたのですが、「美と官能」の方にも受け取れます。
鏡、他者によって自己を認識する。
わたしは人の目に映る自分をあまり意識しないのですが、誰かの目に映るわたしは全て違う形なのかもなんて感じたりしました。
JEANはいろいろな素材でテーマを表現してきていますが、わたしも見た目や感じ方はどう変わっても、芯の揺るがないそんな人間になりたいです。
生と死、自由と苦悩、美と官能
さまざまな思いが結晶するオトニエルの世界
色鮮やかなガラスを素材にした装飾的で官能的な作品で知られるジャン=ミシェル オトニエル。
2011年春、パリのポンピドゥーセンターにて幕を開けた回顧展「マイ ウェイ」では、
20万人という記録的な入館数を動員しました。
原美術館では、パリ市民を魅了したその「マイ ウェイ」展を、かつて邸宅であった当館の空間にあわせて再構成し、
珠玉の迷宮へと変貌させます。
オトニエルが歩んできた道のりは決して平坦なものではありませんでした。
初期には自らの表現に適した素材を探し求め、硫黄や蜜蝋など可変性の素材と格闘し、
心の傷や苦悩を刻むエモーショナルな作品を制作していました。
後にガラスに関心を持ち、脆く透明なガラス玉を連ね、自然の風景と溶け合うように作品を展示。
そして近年は、メタリックに輝く鏡面ガラスの大型作品で新たな境地を開いています。
本展では、初期作品から最新の大型立体まで約60点を一挙公開。周囲に左右されることなく
”マイウェイ”を貫いてきた作家の25年の歩みを展観します。
生と死、自由と苦悩、美と官能など、さまざまな思いや概念が結晶したオトニエルの世界をどうぞご覧ください。
+展覧会名 ジャン=ミシェル オトニエル:マイ ウェイ
+会期 2012年1月7日[土]—3月11日[日]
+主催 原美術館
+共催 ポンピドゥーセンター
+特別協力 フランス大使館,フランス観光開発機構
+助成 INSTITUT FRANÇAIS
+協賛 ボンポワンジャポン株式会社、Saint-Justガラス
+協力 ヤマトロジスティクス株式会社
+開館時間 11:00am—5:00pm[水曜日は8:00pmまで、入館は閉館時刻の30分前まで]
+休館日 月曜日
+入館料 一般1,000円、大高生700円、小中生500円/原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料/20名以上の団体は1人100円引き
文:花宮 久絵
2012/02/25 |
カテゴリー: COLUMN
2011年は日本にとって本当に大きな年だったと思います。
たくさんの悲しい事や嫌な事を経験し、たくさんの素敵な事や嬉しくなる様な事がありました。
それは今でもまだ続いていて、忘れてはいけない事として日本人の心に刻まれたのではと思います。
私個人も大切な友人とその家族とを失いました。
何もかもが一瞬で
だけど目の当たりにした現実は言葉にできる様なものではなくて
ひどく落ち込んでいた時にたくさんの人が立上がりました。
たくさんの人が助け合おうと手を出し合って、その繋がりはどんどん大きくなって今は本当に大きな絆になって日本を支えている。
私の手からこぼれ落ちたものはもう戻らないと気づいたからこそ
今手の中にあるものはしっかり握っていきたい。
そうして誰かの手からこぼれ落ちそうなものを一緒に支えていけるようにありたいと思いました。
絆というものを改めて考える1年でした。
普段は筆記具に触れている私ですが、色々な人が筆記具を持って店に訪れます。
インクの出ない万年筆の修理やペンのノックがおかしいボールペン、海外で買った製品のリフィルを探していたりと様々ですが、
みんなその筆記具を大切にしているのがわかります。
キャップに名前が彫ってあったり、10年以上前のモデルだったり、中にはそのエピソードを話してくれる方もいます。
この前舶来品のボールペンを持ってきた方は、インクが手に入りにくくても、もう古い型であっても、子供たちが贈ってくれたものだから使い続けたいのだと笑って話してくれました。
ある時親子連れで万年筆の修理に来られた方は、ペン先と内部の機構を点検する私の前で、物はこうして修理して使うんだよと子供に話し聞かせていました。
そんな人と人の繋がりをむすぶ事が出来て、喜んでもらえる。
絆を繋ぐ仕事に感謝出来たのも昨年ゆえにだと思います。
pourannickに「SMALL TABLE」というソファがあります。
ちいさなテーブルのついたおおきなソファは、デザイナーとスタッフとプレスとフォトグラファー、色々な方の思いによって2年がかりで生まれた家具です。
どこから見ても美しいソファであるように、使う木材にこだわり、張り地や中のコイル、脚の丸みやテーブルの厚みに至るまで丹念に作られています。
このソファが多くの人の絆で生まれたように、SMALL TABLEは人の絆を結んでいけるようになるのではないかなと思います。
小さなテーブルに飲み物を置いて、ホームシアターを楽しむにもいいでしょう。
電話を置いて尽きる事の無いおしゃべりをしてもいい。
親子で絵本を読んだりするのも素敵。
座ることだけを求めているなら、数えきれないほどのソファがありますが、ほんとうに欲しいものは「座る」ということでしょうか。
本当に欲しいものは、なにか。
求める物が「座る」とは違うかなと思ったら、このちょっと大きなSMALL TABLEを見にきて下さい。
あなたがほしいのは何かを確かめるために。
なぜこのソファが絆を繋ぐのか、きっとわかってもらえると思うから。
次回はこの特別な家具について、もう少しお伝えしようと思います。
文:花宮 久絵
今回も、花宮さんに寄稿していただいたお話です。
- – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – -
初めてここに来た時、ジブリの映画「となりのトトロ」でメイを探すさつきが
木のトンネルをくぐってトトロに会いに行くシーンを思い出した。
日本橋の高いビルに囲まれた道を不安になりながら歩いて、
路地を入った所にぽっかりとあるギャラリーショップ
「ヒナタノオト」
お店に入ると柔らかい色合いの光のなかに
木や革や布とか自然の素材で丁寧につくられたものたちが出迎えてくれる
一つ一つ違う流れを見せる木の器や
こっくりした飴色の小さな陶芸の一輪挿し、
あまり見ない色合いの革のお財布は見ていて飽きないぷっくりしたラインを持っていて・・・
いいなぁ。かわいい!綺麗…、素敵だね。
静かな店内にそんな小さな声が生まれてくる。
窓際にあったカフェスペースでは、楽しそうにカップを傾けてる人もいる。
常設の展示の他に毎月企画の展示も行っているそう。
お店を出た時には来た時の不安が綺麗さっぱり消え
て、ほっこりした気分になるから不思議。
毎日を優しく過ごせるものを探したい時には、
ぜひ一度訪れてほしいお店でした。
文:花宮 久絵
ヒナタノオト
〒103-0024
東京都中央区日本橋小舟町7-13 セントラルビル1階
tel 03-5649-8048
12:00〜1900(土日祝 18:00まで)
木曜定休
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2012/01/10 |
カテゴリー: COLUMN,
STAFF BLOG |
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ヒナタノオト,
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